金融

為替デリバティブ問題を解決するための3つの方法

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「貯蓄から投資へ」のスローガンを政府が打ち出すのに連動してか、数多くの金融商品が販売されています。それに応じて、金融商品に関連する紛争も発生しています。今回はその中から為替デリバティブについて取り上げます。

為替デリバティブ取引とは

為替デリバティブ取引とは、「通貨を一定の価格で購入、売却できる権利」の売買契約をいいます。大手銀行をはじめとする金融機関が中小企業に対してドルコールオプションを売却するのと同時に、 中小企業からドルプットオプションを購入することによって、オプションの対価の受取りと支払いを相殺し、 契約締結時の初期費用をゼロにする取引です。
初期費用がゼロであることから、銀行との付き合いがある中小企業が断りきれずに契約してしまうケースが多い様です。

こうして、為替デリバティブ商品を銀行から購入した中小企業は約19000社にもなっています。

 

デリバティブ取引の危険性

初期費用はゼロですが、為替相場が円高に傾くとどうなるか。
例えば、現在の為替相場を1ドル110円とし、ストライクプライスを130円として通貨オプション取引を開始した場合を考えてみる。
毎月の行使期日に購入単位が50万ドルとすれば130円×50万ドル=6500万円を銀行に支払い50万ドルを購入しなければならない。この6500万円を用意するためにはたった今購入した50万ドルを円に戻さなければならず、その場合は現在の相場で、110円×50万ドル=5500万円にしかならず、6500万円-5500万円=1000万円は、顧客が自分の預金等で補填しなければならない。つまり、6500万円が一瞬にして5500万円になってしまうということになり、何の見返りもなく毎月1000万円もの損失が生まれ続けてしまいます。しかも、これは契約期間が満了するまでの数年間毎月続くので、大半の中小企業はこれほどの損失に耐えられず、倒産までいってしまうこともあります。

最近の事例ですと、繊維商社の瀧定大阪昨年秋からの急激な為替相場の変動により、将来多額のデリバティブ評価損が発生すると判断し、為替デリバティブ契約の解約を決め、2016年2−7月期で約220億円の特別損失を計上しました。

為替デリバティブ取引の解決方法

今回紹介する解決法は、

  • 金融ADRを利用する
  • 民事訴訟を提起する
  • 弁護士へ相談する

の3つです。以下でそれぞれについて説明します。

金融ADR

代表的な解決方法としては金融ADRがあげられます。

金融ADRとは、金融機関と中小企業のトラブルを、業界ごとに設立された金融ADR機関において、中立で公正な専門家が両者納得できるであろう和解案を提示するなどして、裁判以外の方法で解決を図る制度です。

裁判と比較すると、非公開で金融分野に詳しい知識を持った専門家が関与することで、トラブルのスムーズな解決を目指している点に特徴があります。

具体的には、全銀協やFINMACといった指定紛争解決機関にあっせんの申立を行い、あっせん委員会による事情聴取を受けた上で、あっせん委員会からあっせん案の提示を受けます。金融機関と中小企業の両者がそのあっせん案を受諾すると、あっせんが成立します。

提示されるあっせん案の内容としては、中途解約金や未払金の5、6割の減額が一般的で、中小企業が為替デリバティブによる損失をスムーズに解決する1つの選択肢になります。

民事訴訟

しかしながら、金融ADRによる解決が望めない場合には、民事訴訟を提起することになります。民事訴訟を提起すると、解決まで概ね2年弱程度の期間がかかるものの、裁判によって拘束力のある形でトラブルの解決ができます。

また、金融ADRはすでに支払ってしまった金額については、対応をすることができませんので、すでに支払いをした損失についても損害賠償を請求したい場合には、やはり民事訴訟をすることになります。

弁護士への相談

弁護士が間に入るだけで、支払いを一度停止したり、解約の話し合いが進むなど進展がみられることもあります。まずは弁護士に相談するのが結局のところ最善の解決方法になります。

為替デリバティブ取引の対応には金融商品取引法等の専門的な知識がある弁護士に依頼する必要があります。専門の弁護士をお探しの方はこちらからお問い合わせ下さい。